ゆうの試打レビュー デュアルizc 片面アウター、片面インナーの異端児
2024/04/06
自分の試打企画では初登場となるでしょう。
ウェブメディアで有名な「Rallys」の製品。
自分も13年間メディア(紙・ウェブ)にいた人間ですから、商売としてはライバル関係だったため、あまり触れてきませんでした。
しかし、メディアを離れて早3年。
今やTリーグの運営(金沢ポート)も携わっているRallysに対して、敵意も遺恨もございません。
ここはイチ用具開発者として、Rallysが開発したラケットの性能をしかと見ようじゃないか。
と、意気込んで、今回ラケットを取り上げてみようと思う。
それが「デュアルizc」
このラケットは老舗卓球メーカーのダーカーとのコラボ商品であり、木材5枚合板にイザナスカーボンが2枚入っているモデル。
一応説明しておくとイザナスカーボンとは、繊維のイザナスとカーボンを交錯させていて、アリレートカーボンより固めで、ザイロンカーボンよりは柔らかいというバランス型の繊維だ。
デュアルizcの最大の特徴はそのイザナスカーボンが
片面・アウター
片面・インナー
に配置されていること
そんなラケットは他にあっただろうか。
XIOMのアイスクリームのように片面ごとに違う特殊素材を入れて両面の性能を変えているラケットはあるが、配置を変えたラケットは過去に・・・たぶんない(あったとしても人知れず廃番)
今までなかった理由は2つの説がある
①今まで誰も考えつかなかった
②誰かがやったが性能に影響がなくて意味がなかった
だろう。
さて、お前の実力はどっちだ!? という期待を膨らませて、打ってみた。
結論からいうと
①とも②とも言える
フォアとバックで劇的な差が生まれず、そこまで「うわ、全然違う!」といえるレベルではない。
特にフォア打ち、基礎打ちでは、「同じじゃないか?」と思うほどだった。
しかし、強い打球を放つ・受けると「あれ?変わった?」と感じるようになる。
強打時の弾道、打たれた時のブロックの弾道がアウターのほうが確実に直線的に出ている。逆にインナーは強く打てば打つほど弧線が出ている。
結論から言えば、両面で球質の差はあった。
しかし、「ちょっと打ってみようかな」程度ではその差に気づかないと思われる。
気づかない最大の理由は「打球感が一緒」ということかもしれない。
ラケットは合板をした時点で一枚板になり、全体の打球感はほぼ統一されてしまうので、アウター・インナーで変えてもフォアは弾きが良い、バックは球持ちが良いということは、ほとんど感じられない。
打球感が一緒だからこそ、フォア・バックの違いが感じにくいのかもしれない。
味は一緒だけど、食感が違う感じに近い。
まとめると
・打球感は両面でほぼ変わらない
・軽打では球質はほぼ変わらない
・強打になると球質・弾道が変わる
・全体的にバランスが良いカーボンラケット
・性能はアウターよりのインナー(硬めインナー)
ちょっとの違いが大きな勝敗を決めるかもしれない。
「こんなラケットがあったらいいな」とこだわりすぎた人の思考に先回りしたラケットだ。