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姚天明
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「指導者は現状に満足せず、常に勉強しないといけません。もっと勉強したい。そう思って、私は日本行きを決めました。」
16年前、中国でのコーチ業を離れ、日本に渡ってきた姚天明(よう てんめい)さん。
出身は中国・上海市。小学4年で卓球に出会い、高校時代は上海市チャンピオンに輝いた経歴を持つ。その後、指導者としての道を選び、大学でスポーツ学を専攻。卒業後は、上海の体育学校でプロコーチに就いた。約8年間、若手の指導に従事してきたが、より良い指導者になりたいという向上心が新天地を求めた。29歳の時に日本に渡り、横浜国立大学大学院で、より専門的にスポーツ学、卓球というものを学んだ。ちなみに卒業論文のテーマに選んだのは「ペンホルダーの裏面打法」。まだこの新しい技術が確立していない時代、彼は科学的なアプローチで、その可能性を導き出していた。
日本に残って指導をしたいと徐々に思うようになった時に出会ったのが、現在の新発田ジュニア卓球クラブのオーナーでもある齋藤健さん。彼との運命的な出会いにより姚さんの新たなホームグラウンドが産声を上げた。
「プロの指導者ですから、責任があるし、実績を残さないといけません」。そう語る彼のプロ意識は徹底されている。たとえば、新発田ジュニアには、大人の生徒はいない。現在14名いる若く幼い選手の指導に全力を注ぐためだけに、その立派な専用体育館は使われている。生徒たちが来る夕方までは、ビデオでトップ選手のプレーを見るなど、卓球の研究をするのが姚さんの日課である。
当然ながら大人の生徒もいたほうが金銭面では大きなプラスになるだろう。しかし、彼はそう考えず「世界で活躍する選手を育てる」という目標のために、何が必要なのか、何がベストなのかを考え、今の生活を選んだ。彼の一番の理解者である齋藤さんもそんな彼の姿勢を高く評価する。「姚さんは、非常に真面目で、自分の夢を追いかけ、意志を貫くことができるコーチ。お金で動く人ではない。日本人以上に人情味もあり、彼だからこそ全面的にチームを任せることができるのです」。
98年に立ち上げた新発田ジュニアは、シングルス・団体合わせて、3度の全国タイトル獲得するなど、目覚しい活躍を見せている。
「新発田ジュニアのため、齋藤さんのため、支えてくれる人のために、一生懸命やらないといけません。恩返しとして、これからも頑張ります」と語る。
学ぶことを止めない真のプロコーチは、日本の未来の原石を、今日もその厳しい眼差しで見つめている。
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